最終更新日:2026年9月11日

アスベスト調査・除去のプロフェッショナルである株式会社アクトが、鹿児島県日置市を拠点に全国各地でアスベスト対策を実施している経験から、アスベスト含有建材の種類と使用時期について詳しく解説いたします。
目次
建物の解体や改修工事を検討される際、最も重要なのがアスベスト含有建材の正確な把握です。アスベストは1950年代から2006年まで幅広く使用されており、建築時期や使用場所によってリスクレベルが大きく異なります。2025年現在、建築物の事前調査は有資格者による実施が義務付けられており、適切な知識に基づいた判断が不可欠です。
本記事では、国土交通省「目で見るアスベスト建材」や厚生労働省の公式資料をもとに、住宅・ビルで使用されたアスベスト含有建材を時期別・場所別に整理し、鹿児島県をはじめとする九州地方の建物特性も踏まえた実践的な情報をお届けします。
この記事で分かること
この記事を読むことで、以下の情報が得られます。
- レベル別の危険度分類:吹付けアスベスト(レベル1)、断熱材(レベル2)、成形板(レベル3)の特徴と発じん性
- 使用時期と建材名:昭和30年代から2006年禁止までの各時期に使用された具体的な建材種類
- 建物部位別の使用実績:住宅とビル・商業施設でそれぞれ使用されていた建材の違い
- 規制の段階的強化:1975年の吹付け禁止から2006年全面禁止までの歴史
- 鹿児島県・九州地域の特性:地域特有のアスベスト使用パターンと対策
アスベスト含有建材の分類と危険度レベル
アスベストの危険度は、飛散のしやすさで3つのレベルに分類されます。各レベルの特徴・健康リスク・使用時期について解説します。
アスベスト含有建材は、発じん性(粉じんの飛散しやすさ)によってレベル1からレベル3まで分類されており、それぞれ異なる対策が必要です。建物の用途や築年数に応じて使用されている建材の種類を把握することで、適切なリスク評価を行うことができます。
レベル別危険度と発じん性
レベル1の吹付けアスベストは1975年に原則禁止となりましたが、一般住宅ではほとんど使用されていません。主にビルや工場の天井・壁に使用されており、マンションの駐車場などで見つかる場合があります。鹿児島県内でも昭和40年代から50年代前半に建設された公共施設や商業ビルでは注意が必要です。
時期別アスベスト使用状況と規制の変遷
1975年から2006年にかけて段階的に規制が強化されました。建物の築年数からアスベスト使用の可能性を判断するために必要な情報です。
アスベストの使用は段階的に規制が強化され、最終的に2006年に全面禁止となりました。建築時期によってアスベスト含有の可能性や使用量が大きく異なるため、建物の築年数は重要な判断材料となります。
法規制の段階的強化
昭和30~50年代に建設された建物は、ほぼ確実にアスベストが使用されています。特に1975年以前の建物は、レベル1の吹付けアスベストが天井・壁に使用されている可能性があります。解体・改修予定の場合は、必ず事前調査を実施してください。
建物部位別アスベスト含有建材一覧

住宅とビル・商業施設では使用されるアスベスト建材が大きく異なります。部位別・建物種別の使用実績を詳しく解説します。
建物の用途や部位によって使用されているアスベスト含有建材は大きく異なります。住宅では主にレベル3の成形板が使用され、ビルや工場ではレベル1・2の高リスク建材が使用されている可能性があります。
住宅で使用された主要建材
ビル・商業施設で使用された建材
その他のアスベスト含有建材
上記の表に含まれる場合も多いですが、アスベスト含有建材には以下のような種類もあります。建物調査時に見落としやすい建材です。
- 石綿セメント製品:配管、タイル、波板など(レベル3)
- 石綿フェルト:断熱シート、防水シートなど(レベル2)
- ケイ酸カルシウム板:耐火板、壁材など(レベル3)
- 不定形石綿製品:充填材、シーリング材、断熱材など(レベル2・3)
- アスベスト含有接着剤・塗料:床タイル用接着剤、防火塗料など(レベル3)
これらの建材は小規模でも見落とされやすいため、事前調査では建物全体を丁寧に確認することが重要です。
住宅ではレベル3の成形板(スレート、サイディング)が中心ですが、ビル・商業施設ではレベル1・2の高リスク建材が使用されている可能性が高いです。建物の用途によってリスク評価が大きく異なるため、調査の深さを変える必要があります。
鹿児島県をはじめとする九州地方では、高温多湿な気候のため、建物の断熱・防湿対策として石綿含有建材が多く使用されました。特に1960年代から70年代にかけて建設された公共施設や学校建築では、吹付けアスベストが使用されている可能性が高く、定期的な点検と適切な管理が必要です。
鹿児島県・九州地方の建物特性とアスベスト
九州の高温多湿な気候では、アスベスト含有建材が多く使用されました。地域特有のアスベスト使用パターンと対策を解説します。
鹿児島県では、火山灰(シラス)土壌の特性や台風・地震といった自然災害への対策として、耐久性の高い建材が求められてきました。そのため、アスベストの優れた耐火性・断熱性が重視され、他地域よりも幅広い用途で使用されていた可能性があります。
九州地方の高温多湿な気候条件では、建物の防湿・断熱対策が重要視され、1960年代から70年代にかけて多くの建物でアスベスト含有建材が採用されました。特に鹿児島県内の公共施設、学校、病院などでは、吹付けアスベストやアスベスト含有断熱材の使用実績が確認されており、現在でも定期的な点検と適切な管理が行われています。
近年、鹿児島県内でも建物の老朽化に伴う解体・改修工事が増加しており、アスベスト調査の需要が高まっています。県内の建築物は、本土と離島という地理的特性により、建設時期や使用建材に地域差があるため、専門的な知識と経験を持つ調査者による適切な判断が不可欠です。
また、鹿児島市では「アスベストの分析調査・除去等に関する補助制度」が設けられており、吹付けアスベスト等の調査・除去費用の一部が補助されています。補助対象となるのは、建築物石綿含有建材調査者による調査実施などの条件を満たした場合で、市民の健康保護と安全な住環境の確保に向けた取り組みが進められています。
「参照:鹿児島市『アスベストの分析調査・除去等に関する補助』」
適切なアスベスト調査で安全な解体・改修工事を
アスベスト含有建材の種類と使用時期を正確に把握することで、建物の解体・改修工事における安全対策を適切に計画することができます。2025年現在、アスベスト事前調査は有資格者による実施が義務付けられており、書面調査、目視調査、必要に応じた分析調査を通じて、科学的根拠に基づいた判断が求められています。
特に鹿児島県をはじめとする九州地方では、地域特有の気候条件や建築様式により、他地域とは異なるアスベスト使用パターンが見られる場合があります。地域の特性を熟知した専門業者による調査と、適切な除去工法の選択により、周辺環境への影響を最小限に抑えた安全な工事を実現することが可能です。
建物の築年数や用途から「アスベストが使用されている可能性がある」と判断された場合は、解体・改修工事の着手前に必ず専門業者による事前調査を実施し、法令に基づいた適切な対応を行うことが重要です。






